GAZ-M1

使用キット
1/35 「GAZ-M1」(レジン+インジェクション混合キット)
MAQETTE(ロシア)




 旧ソ連で、そして現代ロシアでも、最も著名な自動車メーカーであるGAZ(ゴーリキー自動車工場:Горьковский автомобильный завод)。このGAZ系譜に連なる乗用車の歴史は、米国フォード社「フォードA」に始まる。
 フォード社の技術提供によりフォードAをライセンス生産する事により育まれたGAZの技術は、やがてフォードAの改良型である「GAZ-A」へと、更には全てがソ連人技術者によってデザインされた「GAZ-M1」へと結実する。

 フォードAを改良したGAZ-Aは、タフな走破能力や整備のしやすさ等で、GAZのブランド名を大いに高めた。
 このGAZ-Aを近代的な乗用車へと生まれ変わらせたのが、1936年より生産されるGAZ-M1である。

 外見的には、開放された客室やスポーク型の車輪など、古めかしいデザインを現代的な形状へと生まれ変わらせた。
 またエンジンは四気筒で排気量3.28リットルと変わりなかったが、馬力は40から50馬力へとアップし、最高時速も90kmから105kmへと向上した。
 ただし重量も290kg増加し、1370kgとなった。この為、50馬力ではいささか力不足となり、より強力なエンジンが求められ、後の「GAZ-11」シリーズの開発へと繋がる。

 GAZ-M1は、ソ連国内で幅広く乗用車として利用され、軍用のスタッフカーとしても活用された。大衆的な人気を獲得したGAZ-M1は、そのフロントグリルに着けられた「M/GAZ」のエンブレムから、「エームカ」「エーモチカ」などと呼ばれて愛された。
 結局、GAZ-M1シリーズは、GAZ-11シリーズの登場後(1940年〜)も、1943年まで生産が続けられた。
 なお、ピックアップトラック型の「GAZ-415」も製造されている。

詳しくは「GAZ-11-73」の頁を合わせて参照。




製作記


 本年(2010年)の模型ライフは、マケットのGAZ-M1で幕を開けました・・・前途多難って感じ。

 以前、plusmodelsのGAZを作り、このサイトにもアップしております。しかしながら、このキットは商品名こそ「M1」ですが、実際は「11-73」と「M1」の発展型の車種ですので、ちゃんとした「M1」を作りたいと切望しておりました。
 ・・・もっとも、外見的にはフロントグリルと、ボンネット脇の吸気口の形が違うだけですが、やはりそこは「エームカ」だの「エーモチカ」だのと言った愛称の語源となった、フロントグリルの「M」の字のエンブレムが作りたいじゃないですか・・・。

 「M1」を名乗るキットは、数社から出ておりますが、何故か殆どが「11-73」だったりします。
 その中にあって、マケットの「GAZ-M1」は、ちゃんと「M1」をキット化した商品で、魅惑の一品であります。
 ・・・が、今は絶版。惜しまれはしますが、絶版になる様な素性のキットではあります。


 キットの箱を開ける度に、いつも新鮮な驚きと感動を与えてくれるマケット。

 ・・・合掌し、心静かに・・・六根清浄、六根清浄・・・。


 さて・・・心の準備を整えて、早速、箱を開けてみると・・・むむ、スタート社(?)のBA-20の足回りのランナーと、自社オリジナル(?)レジンパーツが入っています。
 おお、豪華豪華。複合素材キットですね。
 plusmodelsのキットでは省略された車内のドアのモールドも入っているし、部品分割も細かい気がするぞ!・・・これは当たりか!?っと思わせて、その実は、やっぱり負けっ人・・・じゃなくてマケット・・・くぉぉ(涙)。

 同封された説明書がキットの素性を物語っています。

 恐らくどこかのメーカーからキットを出した際に使用した「BA-20」の説明書と、plusmodelsの「GAZ-M1」の説明書との二個一。

 完コピではなく、模写なのかな?と思わせる部分もあって、お茶目です。
 部品の形が(誤魔化せないくらい)違う部分は、書き直していますが、その部分だけ線が違ったり、デッサンが狂っていたりします。

 キットの中身も、そんな感じ・・・完成するのか?



 マニュアルの対比(左がプラスモデルズの説明書、右がマケット)


工作のポイント

 マケットオリジナルの(plusmodelsのキットに限りなく影響を受けた)レジンパーツと、スタート社のパーツとのコラボレーション。
 一応、お互いを組み合わせる事を考慮に入れたレジンパーツの作りになっている様ですが、やっぱり、そこはマケット。形にするにはコツが要ります。愛が要ります

 これからこのキットを作る方(いるのか?)への参考として、ポイントだけ記していきます。

 パーツの精度が悪いとか、考証的におかしいとかは、別次元の問題ね・・・とりあえず形にしなきゃね。



 まずは、ラジエターの取付位置。


 レジンパーツには取付用と思われる溝があります。
 ・・・説明書にも、そこに取り付ける様に書かれています。
 しかし・・・ここに取り付けると、ボンネット内に納まりません。
 そこでパーツを切り取り、シャッシーに直接取り付けてください。
 考証的にも、こちらが正しい。



 二個一で作れないだろうか?という素人考えの思いつきを商品化してしまうマケット。
 空想を科学にするには産みの苦しみは欠かせません。


このキットの天王山が、恐らくエンジン周りでしょう。
(気分的には石山本願寺って感じですが・・・)

元々インジェクションキットのBA-20の車体に納まる様に設計されているわけですから、肉厚なレジン製車体に納めようというのに無理があります。
 プラスモデルズのキット自体が、エンジンは下から覗いている部分だけ再現し、内部は省略していますしね。
 知らずに組んで、車体下部に上部部品を被せてみようとすると、はまらないんですね・・・これが(涙)。
 ・・・泣いていても前には進めません。

 とりあえず、突起部品の出っ張りを、なるべく小さくしてやる必要があります。
 ラジエターのファンは、Xの位置にしなければなりません。十にすると納まりません。


 それと説明書では、計器板と隔壁のパーツを上部車体に取り付ける様に指示が在りますが(説明書の図C番を参照)、何も考えずに従うと、結構しんどい事になります・・・。下部車体に取り付ける方が、調整が楽でしょう。
 接着の際には、上部車体のフロントウィンドウと計器板の間に、隙間が空かない様に気を付けましょう。
 隔壁パーツとエンジン部分が干渉する部分を摺り合わせる必要も在ります。

 ・冷却水タンク(?)を赤矢印の部分でカットして、青矢印の方向にパーツをずらす
・隔壁と接する部分のエンジンを削る(黒丸の辺りは特に)

・・・等々

 いっそうの事、隔壁をもっと薄いプラ板で作り直すか、見えなくなるエンジン上部を取っ払ってしまう方が楽かも知れません。
(・・・何故、そうしなかったんだ・・・と、これを書きながら気付いた/吐血)



 車輪は、以前、plusmodelsのGAZを作った時に余った部品を用いました。

 キットの車輪も悪くは無いのですが、ホイールカバーにGAZのマークが入っていたりと、なかなかいい感じです。


 では早速、車軸に取り付けて、そいつをリーフスプリングの上に・・・あれぇ?


 ・・・車輪が車体に納まりません・・・(涙)。


 ・・・サスペンションの位置が、後ろ過ぎるのか、大きすぎるのか・・・。
 ・・・はたまた、車体の前輪開口部(フェンダー)の位置が、前過ぎるのか・・。
 とにかく車輪が、車体に対して後ろ過ぎです。
(左下の写真参照)

 ・・・ちょほほほ。
 今更、サスペンションを作り直す気力も無く、車体を成形し直せるわけもなく・・・車軸をサスペンションの中心より、前にずらして接着しました・・・。
(上右の写真参照)

 ・・・上手く誤魔化せたかな?



 フロントバンパーはスタート社のパーツが分厚く、雰囲気も悪かったので、アルミ版とプラ材、それに瞬間接着剤をパテにして自作しました。



 そんなこんなで形になりました。

 何だか色が変わっているなぁ・・・という所は、それなりに理由が在るところざます。



塗装工程

 定石通りに、インテリアを塗装してから、上下車体を接着しました。

 閉じてしまったら、殆ど見えなくなってしまいますが(特にエンジン部分は)、万が一見えてしまう恐れもあるので、塗装は程々ながら丁寧に。
 ヘッドライトはアルミホイルを貼り付けて、電球は塗装で再現。
 バックミラーはアルミテープで再現。
 車体の内外問わず、下塗りはシタデルカラーのアンダーコートスプレー(ケイオスブラック)を吹き付け、細部を筆塗りで仕上げています。


 青みがかった黒い車体を表現したくて、アンダーコートスプレーの下塗りの後、紺色でハイライトを入れていきます。
 その後、薄めたシタデルインクの黒を塗り重ねていきます。
 トップコート(セミグロス)を拭いて、表面を整えて、艶を出しました。トップコートを拭いたら、グラデーションが分かり難くなってしまいましたので、シタデルインクの上塗りは、もっと薄くて良かったかも知れません。
 最後に、Mr.メタルカラーをパレットに出し、乾いたら綿棒に金属粉をすりつけ、車体になでつけてみました。金属の質感が出たでしょうか。


 ゴムコーティング部分(乗車口のステップ)は塗り分けて、マスキングをしてトップコートがかからない様にしています。

 ちなみにナンバープレートのデカールは、plusmodelsのキットから流用。

 整備された車両を再現したかったので、パステル等によるウエザリングや、サビの表現は、最低限に抑えました。



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