GAZ-11-73

使用キット
1/35 「GAZ-M1」(レジン製フルキット)
plusmodels(チェコ)




 GAZ-11-73は、Эмка(エームカ)と呼ばれた、ゴーリキー自動車工場(Горьковский автомобильный завод:GAZ)で製造された一連の乗用車の一つである。

 ソ連は米国フォード社の技術提供を受けて1930年より、“十月のサイレン”ゴーリキー自動車工場(Горьковский автомобильный завод "Гудок Октября")と、KIM名称モスクワ自動車工場( Московский автомобильный завод имени КИМ)でフォード社の乗用車「フォードA」をライセンス生産し始めた。これらの生産の課程で技術的ノウハウを蓄積した結果、1932年よりゴーリキー自動車工場で、改良型のフォードAを生産し始める。これがGAZ-Aである。
 このGAZ-Aを発展させ、近代的なオリジナルの乗用車として開発したのが、GAZ-M1である。このGAZ-M1はフロントグリルに取り付けられた【ГАЗ-М】のエンブレムから、「エームカ」という愛称で呼ばれる様になり、これは同じ様な車体デザインのGAZ-11系、GAZ-61系を通して一貫していた様だ。GAZ-M1は乗用車として広く使用され、軍においてもスタッフカーとして使用された。結局、GAZ-M1は1936年から1943年まで生産された。
 1940年、GAZ-M1の改良型が生産を開始される。これがGAZ-11-73である。主な改良点はエンジンが四気筒から六気筒に成った事であり、これにより排気量は3.28Lから3.48Lに、馬力は50馬力から76馬力にアップした。外見上の違いは、ボンネットのフロントグリルと側面の通気口の形状が変更され、バンパーや計器パネルが新しくなり、ダンパーとスプリングも強化された。また戦後型はブレーキがギア式から油圧式に代わっている。このシリーズはピックアップトラックや、オープンカーといった派生型も作られ、1948年まで生産が行われた。
 因みに、このGAZ-11系を戦時中に四輪駆動車に改良し、外装仕上げを簡略化したのがGAZ-61系にあたる。




 なお、作例では戦時に徴用されたGAZ-11-73という設定で、車輪は通常の物ではなく、GAZ-61系やGAZ-64、GAZ-67が用いているオフロード用を履き、車体後部のスペアタイヤにも、通常被せる脱着式金属製カバー(通称「フライパン」)を用いていない。
 車体色は通常は黒だが、時折サクランボ色(暗赤色)、茶色、紺色などでも塗装され、戦時下では緑系保護色や迷彩色に塗られた。作例では黒とした。
 内装はいくつかの画像から灰色とした。シートは焦茶色か灰色のラシャが張られているが、作例では明るめにした。



主要参考文献

「忘れ難きエームカ」
Ю. Долматовский/ Л. Шугуров
『Моделист-Конструктор』誌 1974年第5号掲載



製作記

 『赤軍記者グロースマン』出版記念モデリング。
 
 グロースマンが取材中の足として使用する「エームカ」が作りたくなり、plusmodelsのレジンキットを購入した。GAZ-M1という事で購入したのだが、制作中にGAZ-11-73である事に気付いた・・・まぁ良いか・・・。

 plusmodelsのこのキットは、歪みや気泡も少なく入門者に最適な優良キット、と言う事であったが、AFVのレジンキットは2作目(フルキットとしては初体験)なので良く分からない。ただインジェクションキットのありがたみは身に染みて分かりました。やっぱりプラモデルが好きです。


 上は湯口処理が終わった所。
 レジンのパーツにエッチング、デカール、透明プラ板、針金が付きます。
 窓ガラスは透明プラ板を切って作り、ハンドルの支柱と排気管、ヘッドライトのレンズはパーツが付いていないので、自作しなくては成りません。

 今回は『赤軍記者グロースマン』に掲載されている写真を参考にした為、ホイールをタミヤのGAZ-67Bから流用して、オフロード用に取り替えました。雰囲気が変わってなかなか良い感じです。
 
 組み立てるとこんな感じです。
 裏側。
 
 インテリアに関しては省略が多いので、プラ材でドアノブ類と、バックミラーを追加(矢印参照)。

 インテリアの資料が少なくて難儀しました。エームカの細部写真集も出版はされていますが、現在は入手困難の様です。ネットで手に入れた画像を頼りにしました。まぁ、根を詰めて作ったところで完成したら見えなくなるので程々に。
 カーモデルは室内を塗装してから組み立てなければ成らないのが面倒くさいですね。


 塗装はプラ材を使用した部分はタミヤサーフェイサー、その他はクレオスのレジンプライマーを吹いた後、缶スプレーで下塗り。その後、いつも通り水性アクリル塗料のシタデルカラーやヴァレホカラーで仕上げて、パステルでウェザリング。

 ミラーやクロームメッキ部分は、ガンダムマーカーのメッキシルバーを使用。アルコール系塗料なので、アクリル溶剤で調節しながら筆塗りが出来ます(水やペンチングソルベントでは不可)。
 ヘッドライトはアルミホイルを貼り付け、電球部分は塗装で、それっぽく仕上げました。

写真・文章/赤いお母さん


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