兵役勤務年数章(нашивка по годам службы)
:1974〜1982



・導入

 1974年4月9日、ソ連国防大臣命令第85号によって、兵役年限内の兵・下士官(いわゆる徴集兵)用に、兵役勤務年数章が制定された。この徽章は外套に着用されるワッペンで、黄色いストライプの本数で、その兵士が兵役に付いて何年目であるかを表示した。
 この徽章は国内軍では6月17日付ソ連内務大臣命令186号で、KGB傘下の部隊では7月8日付ソ連邦幹部会付KGB議長命令108号により、それぞれ導入された。
 同様にソ連海軍にも、陸軍より少し遅れて、この徽章が導入されている(*1)。

*1:参考にした書籍の中で、A.Stepanov氏は導入に関する日時や命令文章には触れていない。ただ国防省が1984年に出版した服装規定書では、ソ連海軍で着用する旨は未だ言及されていない。


・形状と着用方法

 徽章は長さ8cm、幅1cmの合成ゴム製で、色付ラシャ製の台座にプリントされた。台座の色は赤で、空軍と空挺軍は空色であった。恐らく海軍は黒、国内軍は茜色、国境警備隊は緑色、その他のKGB部隊は紺色と思われる(*1)。徽章は兵役一年目ならば一本、二年目なら二本、三年目なら三本の物を着用した。台座の上・下端からは各5mmの距離を空け、徽章同士は3mmの間隔を置いてプリントされた。
 徽章は外套の右袖に着用され(海軍は外套の他に水兵用半オーバー:бушлатにも着用した)、台座の下端が肩口より20cmの位置に来る様に縫い付けられた。
 例外的な着用方法としては、モスクワにおけるパレードに際して、この徽章は外套の両袖に付けられ、また戦闘車両の搭乗員が着用する黒革のコートにも縫い付けられた。

*1:参照した書籍上で、A.Stepanov氏は空色と緑色のサンプルを示している。赤と空色以外の台座の色に付いて、文章中での言及は無い。


・廃止

 兵役勤務年数章は、1982年6月12日にソ連国防大臣命令第0100号によって廃止された。
 同様に、国内軍では10月1日付ソ連内務大臣命令第0460号で、KGB部隊では11月27日付ソ連KGB議長命令第152号により、それぞれ廃止された。

 廃止の理由については「(徽章が)新兵と古参兵の相互関係に好ましからざる役割を演じたから」、或いは「いわゆる規律外関係に逆らう努力の強化方法の一つだった」等とされている。

参考資料:
『Военная Одежда Вооруженных Сил СССР и России(1917 - 1990-е годы)』 1999
A.Stepanov 『Soviet Arm Badges. 1920-91(1)』 1999

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