共産党軍が国民党軍に対して攻勢を強めていく1947年から'48年頃に、日本軍から接収した九七式軽装甲車を駆る解放軍戦車兵を模型化した。 特に野戦軍や戦区を特定したわけではないが、華北辺りの解放軍兵士とした。 この時期の解放軍は、抗日戦争期と変わらない国民党軍と同様の中山服式の軍服を使用している。ただし国共合作が崩壊後、青天白日帽章と八路軍・新四軍の布章を外している点が異なる。 一応は使用する綿布や染料(土黄色もしくは草緑色)の規定は在ったものの、各解放区の経済状況に影響され、服の形や色の統一さえもままならなかった。オフィシャルなローカルメイド品を支給していた様なものである。 更には国民党軍や日本軍から接収した物資を、大いに利用していた(中身すら、昨日までは国民党や日本の軍人であったかも知れない)。 軍需工場の接収などにより解放軍の生産能力が向上した国共内戦後期には、統一した軍装品を生産支給出来る様になり、1948年末から'49年にかけて軍服・軍帽の規格統一と、帽章や胸章の制定が行われる。 独自デザインの軍服としては1950年の50式まで待たねば成らなかった。 |
戦車兵にかかわらず、一般的な解放軍兵士の姿を再現した。 支給された国民党型の軍帽と軍服を着用し、足元はゲートルを巻き、日本軍から接収した昭五式編上靴(無鋲型)を履いている。 |
車長。 上記の戦車兵と同様の軍装だが、日本軍の防塵眼鏡を着用している。 日本軍から接収した戦車を駆る解放軍兵士達の写真を見ると、日本軍の戦車帽を着用する者も多いが、軍帽のみの搭乗員も多い様だ。 |
・模型的解説 |
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ファインモールド社「帝国陸軍戦車兵セット2」の中から2体を使用し、解放軍戦車兵に改造した。外見は中国兵でも、中身は元日本兵という実例もあるのだから、リアルといえよう。 軍服と軍帽の改造は、各社エポキシパテを使用し、最後はタミヤパテで仕上げた。 ゲートルはプラペーパーを巻き付け、紐の部分は細切りのマスキングテープ。 編上靴も形状を修正し、編み紐は伸ばしランナー。 砲塔に乗せる車長の方は、どうせ見えなくなるんだからと、膝から下は適当です。でも本当に見えなくなると、それはそれで悲しいですね・・・。 |
塗装はいつも通り、各種水性アクリル塗料(シタデルカラー・ヴァレホカラー・タミヤアクリル)で仕上げ、車載してからパステルでウエザリング。 しかしながらこのフィギュア、確かに160cmくらいの戦車兵を正確に1/35で再現しているのですが、小さくてまるで1/48か何かを塗っているようです。昨今の1/35フィギュアは大き目ではあるのですが、それらと比べると塗装の楽しみが今ひとつです。 大きさだけではなくて、スケールに合わせたプロポーションのディフォルメが今ひとつという気がします。ボリュームが足りないんでしょうね。これでも改造しながら増やしたのですが。 原型師が私の好みでは無い様です。 |
(写真と文章/赤いお母さん) |