今回が25回目となる伝統あるフィギュアの祭典「クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア」が開催されました。 四年ぶりに、フィギュアに魂を献げたフランクさんに連れられて参加した筆者が、フェアと、同時に開催されたコンペティションをレポートします。 過去のレポートと併せてお読み下さい。 |
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25. Deutsche & Internationale Zinnfigurenborse Kulmbach (第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア) |
9.Internationaler Figuren- und Dioramenwettbewerd (第九回 国際フィギュア&ディオラマコンペティション) |
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25. Deutsche & Internationale Zinnfigurenborse Kulmbach
(第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア)
ドイツ・バイエルン州北部に位置するクルムバッハ(Kulmbach)。プラッセン城の城下町であったクルムバッハは、現在では4つのビールブランドを抱える企業城下町として栄え、城の中に開設されている世界有数の錫人形博物館と合わせ、正にビールとフィギュアの街です。 そんなクルムバッハが誇るイベントは、8月第1週の週末に開催されるビール祭・・・そして、8月第2週の週末に、二年に一度開催される「クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア」。 その起源となるコレクターの集いは戦前に遡り、この形のフェアとしては今年で48年、25回を数える伝統あるイベントです。 他のフィギュアイベントと違い、フラットフィギュアというオールドスクール的な物を中心に据えているのが特徴で、そこに歴史を感じさせると共に、作り手及びコレクター共に高齢化が問題になっている様です。 左)開会の辞を述べるクルムバッハ市長 |
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街の広場に建てられたビールフェス用のテントを間借りして開催されます。 開催は以下の通り。 金曜日 9:00 - 18:00 土曜日 9:00 - 18:00 日曜日 9:00 - 12:00 木曜日はフェアに参加する業者の搬入日。この日は一般参加者はテントに立ち入れず、また商品の売買も明確に禁止されています・・・が、最も取引量が多いとされるのは謎ですねぇ・・・。 フラットフィギュアだけではなく、ラウンドフィギュアやトイソルジャー(完成品)、本や工具といったアイテムが、新品中古を問わずに取引されます。 ペガソといった大手から、個人や家族で運営しているメーカー、ショップも参加し、ここでしか直接手に入らないアイテムも! 特にドイツは日本と違って何でも手に入るホビーショップが少ないので、こういう機会は貴重なのだそうです。 |
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なお、会場で目に付いたメーカーやショップ、個人的に買い物をしたアイテム等についてのレポートは、Blogの記事としてまとめたので参考にして下さい。 |
第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア(1) 前日設営 第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア(2) 第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア(3) 第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア(4) Schilling Figuren/Munich-Kits 第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア(5) Mirliton 第25回 クルムバッハ・ドイツ&国際錫人形フェア(6) 今後の展望 |
クルムバッハでお買い物'15 (1) ラウンド54mm クルムバッハでお買い物'15 (2) ミニスケール クルムバッハでお買い物'15 (3) フラットフィギュア【1】 クルムバッハでお買い物'15 (4) フラットフィギュア【2】 クルムバッハでお買い物'15 (5) フラットフィギュア【3】 草木 クルムバッハでお買い物'15 (6) フラットフィギュア【4】 続・草木 |
しかし今年は猛暑で気温が40度に至る日もあり、テントの中は蒸し風呂状態。隣接するタウンハウスの会場には冷房があるのですが、熱中症で緊急搬送される方も。高齢者が多いので、体調を鑑みて来場を控える方も多く、今年は入場者が少なめだったようです。 |
9.Internationaler Figuren- und Dioramenwettbewerd
(第九回 国際フィギュア&ディオラマコンペティション)
広場に隣接するタウンホールで、フィギュアとディオラマのコンペティションが開催されています。今年で9回目になります。 ・参加作品(抜粋) ・特別展示 TOPへ |
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カテゴリーは 「フラットフィギュア」 ・ペインティング ・ディオラマ 「ラウンドフィギュア」 ・オープン ・ペインティング ・ディオラマ 「ファンタジーフィギュア」 更には、「ジュニア」「ビギナー」「スタンダード」「マスター」とクラスが分かれています。 クラスは自己申告なので「なんでこれがスタンダードなの!?」ってな事もありますし、ディオラマはフィギュア4体以上の作品とされていますが目安程度の様です。結構いい加減。 しかも、エントリーシートに「ペインティング」部門が記載されていないという問題も・・・事情の良く分からない人間は、エントリーの段階から不利です。 |
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エントリーの締め切りは土曜日の12時まで。 受付でエントリーシートを提出し、参加料を各作品ごとに支払うと、台座に貼るエントリーシールと作品の引換券を渡されます。 このシールを台座に貼って、各カテゴリーのテーブルに各自で陳列します。複数体在る時は、まとめておくようにA4サイズの台紙を渡されます。 因みに飾り方は自由なので、布を引いたり、台を据え付けたり、制作過程を記した小冊子を置いたりと、結構自由です。 |
会場の入口に置かれた受賞者に贈られるメダルと盾。 |
審査は土曜日の午後に会場を閉め切って行われ、結果発表と表彰式は日曜日の10時から行われます。 メダルは各カテゴリーの上位三名に与えられるのではなく、このレベルに達しているな・・・という絶対評価で授与されます。 金賞を取ると、スクリーンに作品が大写しになり、名前を呼ばれて表彰されます。 |
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「R.I.P.」とあるので何かと思ったら、8月1日に亡くなられたシェパード・ペイン(Sheperd Paine)御大の死を悼むメッセージが掲げられていました。 |
「ファンタジー部門」 |
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オーガラット(?)は金賞受賞作品です。 | |
こちらも金賞受賞作品。 |
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EVDのフィギュアをこういう風に料理するとは・・・。 |
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ファンタジー部門は色の使い方や、ベースの見せ方などが自由な分、非常に凝ったレベルの高い作品が多かったです。 | |
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「ラウンド・オープン」及び「ラウンド・ペインティング」部門 |
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こちらも「ラウンド・オープン」マスタークラスで、金賞受賞作。 |
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四つの馬にまつわる作品の中から、右の作品が金賞を受賞していました。 どうやらフルスクラッチの様で、造形も塗装も品が良くて素晴らしい作品でした。 |
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上品で、54mmスケールらしい密度が詰まった塗装が素晴らしいです。 |
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「ラウンド・ペインティング」で金賞受賞作。 |
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こちらも「ラウンド・ペインティング」で金賞受賞作。75mmサイズくらいです。 |
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54mmサイズ。 |
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金賞受賞作。 有名なポートレートをモチーフにしたキットですね。 |
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最近のヨーロッパっぽい、 立体的でトップヘビーなバランスの情景作品。フィギュアは54mm。 これでスタンダード・クラスへのエントリーなんだよなぁ・・・。 |
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54mmサイズ。 |
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54mmサイズ。 物凄い手間暇を掛けた書き込みなんですが、「ファンタジー」部門ならいざ知らず、考証的には全然正しくない文様なので、この辺りの評価はどうなんでしょうね。 規定に沿っていなかったりすると、どんなにレベルの高い作品でも、残酷に失格になってしまう様なので。 |
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「ラウンド・ディオラマ」部門 |
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シャドーボックスの様に、額装した情景の中に立つ1/72スケールのフィギュア。 手法としてはフラットフィギュアのやり方です。 キャンバスに描かれた背景も上手いんだよなぁ・・・。 |
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1/72スケールのローマの街並み。 スタンダードクラスで、金賞を受賞していました。 |
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こちらも同様のナポレオン時代の情景。 表現方法と言い、色彩と言い、実にヨーロッパぽいオシャレな作品でした。 これでスタンダードとは!? |
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こちらはまるで家具のようなディオラマ作品。 電飾が施され、鉱山の四つの場面を再現しています。 使われているフィギュアは、みんな大好き(?)パイプ製。54mm表記ながら70mm位の大きさのフィギュアを使っています。 |
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「フラット・ペインティング」及び「フラット・ディオラマ」部門 |
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イラストと組み合わせて、レリーフの様な作品に仕上げています。 額装したフラットフィギュアの作品には、イラストや写真と組み合わせた、そんな手法の作品は多いです。 |
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これなぁ・・・このスポーツジム・セット、買い逃したんだよなぁ。 | |
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恐らく同じ作者の2作品。 額装してガラスがはめられる様なシャドーボックスでは無く、凹みのある板状の額を用いた作品。 日本でも売られているブリザードフラワー様の額なんかを用いて、同じように作れるなぁ・・・というアイディアを頂きました。 |
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特別展示
今回、コンペティションの会場では、何やら特別展示が行われていました。 プロフェッショナルな作家の作品展だった様ですが、どういった趣旨なのかは良く分かりませんでした。 オーソドックスながら高いレベルで、フラットフィギュア作品のアイディアというか、作品作りの手法を学べました。なるほど。 |
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何やら賞を取ったらしい作品。 スタンダードな見せ方の作品です。 |
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こちらはシャドーボックス的な見せ方をした中でも、かなり高度な演出がされた作品。 フラットフィギュアや書き割りを重層的に並べ、天板からの光の入り方も計算して、実際以上の奥行きを表現しています。 |
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これは絵画とフラットフィギュアを組み合わせた作品かな・・・と思ったのですが、塗り込めてあるのか、模写なのか良く分かりませんでした。 | |
額装を施された典型的なシャドーボックス・スタイルの作品。 レリーフの様に一部立体的な背景に、フラットフィギュアを配置し、遠近法を利用して奥行きのある作品に仕上げています。 地面が平らではなく、奥に向かってせり上がり、遠近法を強く意識しているのはライプツィヒ派の手法だそうです。 |