アフガニスタン駐留第40軍を慰問する、ソ連の国民的歌手A・ローゼンバウム(後述)。 制作開始時にアフガン慰問演奏中の画像を持っていなかった為、本人役でカメオ出演した『Afghan Breakdown』(後述)の1シーンを再現した。 厳密には兵士ではないし、現実の歴史再現では無いかも知れない企画。一応、メンバーの承認を得たので、アップします。 |
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(写真と文章/赤いお母さん) |
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ローゼンバウムがアフガニスタンを慰問した事は確かですが、彼が何度、何時、それを行ったかは定かではありません。ただ、80年代後半と思われる画像が残されている為、80年代後半(それも撤退間近)の演奏シーンを、映画のシーンを参考に再現しました。 ギターは、何本か愛用の物があり、アフガニスタンや国境警備隊への慰問の写真を見ると、ニス塗りのアコースティックギターを用いている様ですが、映画のシーンを再現した為、黒のアコースティックギターにしました。ただし、制作中に、実はこのタイプのギターは12弦ギターで、ヘッドの形が作例と違う事に気づきました! マイクスタンドは、彼の演奏写真の中に在った物を適当に再現しています。 |
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81年型スペッツナズ服: ローゼンバウムがアフガニスタンの慰問中着用していたのが、偵察兵達が用いたスペッツナズ服です。「ペスチャーンカ(песчанка:砂ねずみ)」の名前で知られた熱地用の薄い2ピースの服で、アフガーンカ用帽子によく似た専用の帽子が付属しています。 この服は73年型の物と、それの発展系である81年型があり、ローゼンバウムが着用しているのは81年型です。両者の大きな違いは、ポケットの露出ボタンが隠しボタンに成った事や、膝当布が付いた事、両脇と股の部分にメッシュの通気口が設けられた事などが挙げられますが、その他様々な改良が施されており、良く比較すると随分と違う事が分かります。 ローゼンバウムは上着の裾をたくし込んでいますが、そういう着こなしをしない兵隊の方が多い様です。81年型の上着の裾は後身頃にゴムが入っており、風などで裾がばたつかない様に成っています。 81年型のズボンの裾はスキーウェアの様な二重構造で、内側の裾をブーツの中にたくし込み、ゴムの入った外側の裾をブーツの上に被せる様に成っています。おそらく砂が入らない工夫でしょう。ローゼンバウムは両裾共にブーツにたくし込んでいるか、ブーツの上端まで裾を挙げて履いています。なお、ズボンの右側面に付いている細長いポケットはナイフポケットで、スナップボタンで閉めるふたが付いています。 また、通常は下に空挺兵用ボーダーシャツを着用しますが、彼は着用していません。 88年型編上ブーツ: 80年代後半、それも末期に履かれていたタイプの編上靴。 同型のブーツでも89年型とスタンプされているサンプルもあり、実際の所、この形のブーツが何年制定で、何年頃に履かれていたのかは疑問が残ります。 現在、ロシア軍で用いられている物とよく似ていますが、鳩目穴は10個(ロシア軍は8個)で、上端の形も違います。 |
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脇の下アップ |
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レニングラード(現サンクトペテルブルグ)出身の歌手。 ロシア人民芸術家。 1982年にバンドを率いる形でデビューし、1986年アルバム『Эпитафия(墓標銘)』でソロデビュー。 多くのアフガニスタン紛争に関する歌を書き、積極的にソ連軍・ロシア軍への慰問活動を行っている。 『アレクサンドル・ローゼンバウム公式サイト』 ・「фотоальбом(アルバム)」で、彼の若い頃から現在までの写真を見る事が出来ます。 ・「тексты песен(歌詞)」で、曲を聴く事も出来ます。 右はソロデビューアルバム『Эпитафия』(1986)と、最新アルバム『Я вижу свет(光が見える)』(2005)。 「彼は特徴的な頭をしている。でかい」とロシア人に言うと大きくうなずかれたが、年々巨大化している気がしてならない。既にCDジャケットには収まらない! |
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モスクワの中央軍事博物館に展示されていた写真。 キャプション訳 「シンガーソングライター A.ローゼンバウムと、第40軍政治部長代理 А.И.ザハロフ大佐。 ソビエトの前哨部隊の一つにて、兵士達の輪の中で」 ローゼンバウムは81年型スペッツナズ服を、ザハロフ大佐はアフガーンカを着用している。 |
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ジャケットは最低だが、中身は最高だ! 違いの分かる男のマストアイテム。 |
1991年制作 ソ連・イタリア合作 スタッフ 制作:ジョバンニ・ディ・クレメンテ 監督:ウラジミール・ボルトゥコ 脚本:アレクサンダー・チェルビンスキー 撮影:ザシャトゥコ・レオミドビッチ 音楽:ウラジミール・ダスケビック 美術:ウラジミール・ズベトザーロフ キャスト バンデュラ少佐:ミシェル・プラシド カーチャ:タチアナ・ドグヒーレワ タニア:ニーナ・ラスラノーワ ニキータ:フィリップ・ヤンコフスキー グラカーン:イスカンデル・ギアファロフ アルセノフ:アレクセイ・セレブリャーノフ コロネーロ:ミハエル・ジガロフ *表示は(不本意だが)ジャケットのまま アフガニスタン撤退直前の空挺部隊を描いた作品。 小道具から大道具、衣装など、全てにおいて完璧なまでの考証が行われた傑作映画。使用する兵器も本物で、実弾射撃がどんな物か教えてくれる男の映画。ラストのヒップやハインドの大編隊は、「本当はこういう画が撮りたかったんだ」とコッポラに歯ぎしりさせる事間違いなし。 この作品中でローゼンバウムは本人役でカメオ出演、彼の歌「ЧёрныйТюльпан(黒いチューリップ:戦死者の棺桶製造と、遺体の輸送を担った国営企業の名前。そこから転じて戦死者を運ぶ飛行機の事)」も劇中歌で使用されている。 惜しむべきは日本はイタリア語版でビデオ公開されており、ソ連兵がイタリア語を絶叫する辺りが興ざめ。 ちなみにコロネーロ(大佐)は、肩章の星からみて明らかに中佐の間違い。この俳優は後に、「厳戒武装指令(原題:突撃)」(2002年ロシア)で徴兵委員会の大佐役を演じている。本当にコロネーロに成ったんだね・・・。 レンタル落ちのビデオが流通しているだけなので、中古ビデオ屋で見つけたら、即、男なら迷わず買うべし。 何とかDVDで!ロシア語版で再発してくれ!と仏に祈願して止まないが、未だ御仏は微笑んではくれない。 |
追記 もう少し詳細に書いた記事をBlogにアップしました。 『レッド・ストーム/Afghan Breakdown』 |
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ICMの「ソヴィエト特殊部隊」の指揮官の顔がローゼンバウムに似ているなぁ・・・という思いつきから始めた企画であったが、意外と顔を似せるというのは大変で、こういう事はもうしません。 ちなみに表情付けは溶きパテを用いた。 キットはヘッド以外は「ソヴィエト自動車化歩兵」を使用。襟、腕の先、ズボンのシルエット以外は、殆ど原型を留めていない。 上半身はポーズを変えて、ボリュームも出してやり、下半身はベルトループやポケットを増設。タミヤエポキシパテ高密度タイプを使用。 ブーツも削ったり、マジックスカルプで形を少し変え、編紐は伸ばしランナー。 塗装はいつもの通り、水性アクリルカラーのシタデルカラーを基本に、ヴァレホカラーで補色。 どうしても艶が出るので、つや消しクリアーをスプレーしたが、完全に消すのは難しい。 ちなみに肌の塗装方法は「平田メソッド」。 |
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ギターはプラ板、プラ棒と伸ばしランナー、でフルスクラッチ。 弦は伸ばしランナー。 ギターのストラップはプラ板と伸ばしランナー。 |
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マイクスタンドも、足の部分に1mmの真鍮線を用い、材料が足りなくなったのでアームにエバーグリーンの1mmプラ棒を削って使ったが、後は基本的に伸ばしランナーと溶きパテ。 0.8mmのプラ棒が手元に無かったからというのもあるが、伸ばしランナーの方が、エバーグリーンのプラ棒よりも堅くて加工し易かったという事もある。 |