1990年頃
空挺部隊兵舎の中で中隊当直の任に就く兵




  





空挺兵(Десантник)

 このフィギュアの状況設定は、1990年頃に空挺部隊の兵舎の中で中隊当直の任に就く兵をイメージしました。

 設定に基づいて、空挺兵のフィギュアは上から、赤色のペナントが左側面に付いた空色の1988年型空挺部隊兵用ベレー、「ブターン」迷彩が施された1983年型空挺部隊用野戦服と空挺部隊用ボーダーシャツ、常勤用のベルトとAK74用の銃剣 、「ガーディ」と呼ばれた編上ブーツを着用しています。
 1983年型空挺部隊用野戦服の襟先には空挺部隊の野戦用兵科章、左上腕部には「中隊当直(ДЕЖУРНЫ Й ПО РОТЕ)」と白文字でステンシルされた赤色の腕章を巻いています。また襟の内側には白木綿の襟布を縫い付けています。

 ちなみに「ブターン(Бутан)」迷彩とは、1980年代初めにД.М.カルブィシェフ名称中央科学研究試験所で始められた迷彩パターンと色相と適当な生地の選択および研究に基づき、1984年に新型野戦服用に採用および支給が決定された迷彩のことで、「ブターン」すなわち「ブタンガス」とは研究所での名称でした。ソ連軍ではとくにこの迷彩の名称はなく、生地の型式番号で分類されており、「ブター ン」迷彩のドリル織生地は「3225」と分類されていました。「ブターン」迷彩は、実際に植物を背景にした場合、実に効果的に人間の輪郭を隠蔽して目立たなくさせ、5歩の近距離からでも、100メートルの遠距離からでも、夏でも冬でも非常に効果的でした。この迷彩が施された新型迷彩野戦服は1987年頃に部隊への支給が始まり、1980年代末に空挺部隊と海軍歩兵に支給されることが規定されました。





 使用しているキットは、すべて1:35のインジェクションキットで、設定に合わせて改修しています。

  フィギュア本体はICMの「ソヴィエト・アフガン戦争(1979‐1988):ソヴィエト自動車化歩兵」のもの、AK74用の銃剣はドラゴンの「ソヴィエト・スペツナズ」のものを利用しています。

 ICMのキットはモールドにある種の「かたさ」 があるのですが、顔とズボンの「しわ」のモールドは最大限に尊重しました。上半身は腕を組ませたため、襟やポケットやエポレットを含めてモールドをすべて作り直し てあります。尊重しているのは袖口ぐらいです。
 また1983年型空挺部隊用野戦服は、ズボンを内蔵サスペンダーで吊っているのですが、上着にそれを通す穴を表現してみました。ズボンは右ポケットを膨らませました。キットのズボンの前面にミシン縫いの折り目がモールドされているのはうれしいのですが、残念ながら大腿部から上の部分の位置が間違っているので修正が必要です。
 編上ブーツは靴紐の表現がいまいちなので、伸ばしランナーで靴紐を作り直しました。また爪先も薄く削ると、実物の形に近づくようです。
 ドラゴンの銃剣は通常とは逆に鞘に入っていますので修正してやらねばなりません。


 キットの内包品(ランナーも含む)以外に製作に用いたものは接着剤とプラペーパーとタミヤパテとマスキングテープです。ベレーや帽章やペナントとその兵科章、襟の兵科章、台座の床板と絨毯もタミヤパテで造形してあります。
 塗装はフィギュアも地面もすべてアクリルガッシュで行っています。

 手前の床板の上には、これもタイトルプレートを付けるかわりに、裏足が折れたジャンク品を生かす目的で、実物の空挺部隊の兵科章を付けてみました。

(ワレンチン・ヴェノーフ)

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